悪役達の救世譚 のバックアップ(No.8)
あらすじ
二十年前の戦争を乗り越え平和を謳歌する国、ケルディア王国に突如現れた魔人。それによる危機は豪商の息子アレクト=ブロッサムによって未然に防がれたがその下ではある陰謀が蠢いていた。アレクトは学生時代の師ダドリー=ウェスダンの要請で物運系冒険者ギルド「駿馬の嘶き」に加入する事となったがその冒険者ギルドが訳ありで―― 普段は悪役斬られ役な奴らも生を謳歌出来る系エコノミックハイファンタジー!
※異世界トリップ、転生要素はありません。ご注意ください。週単位での更新です。
主な登場人物
●アレクト=ブロッサム
種族 人族
生まれ 豪商
年齢 18歳
魔力抵抗 超々強(魔術に対して無敵、魔術行使不可)
この物語の主人公。超がつくほどのイケメンで物腰も穏やか、性格も爽やかで名門の出だがそれを鼻にかける事は無い。学生時代の師ダドリーに命じられ、荒くれ者の集う物運ギルド『駿馬の嘶き』に加入する事となり、知らぬ間にこの国の根幹へと関わっていく。父の影響もあって美食家だったりする。そして睡魔に襲われている時や面倒事をさっさと片付けたい時は雑で荒っぽい性格が覗く。
戦闘面 名門リュシアン魔術学院に通っていたが魔力抵抗が途轍もなく強い為、装飾品が無ければ魔術を行使出来ない。ただ国内有数の権力者ダドリー=ウェスダンを初めとする主に公的権力者とのコネクションはきちんと確保しているので入学自体は無駄ではない。
「主人公を事あるごとに挑発し、最終的に親共々断罪される豪商の息子」が雛型。が、最早影も形も無い仮面聖人君子に。
●エリシア=イェイツ
種族 人族
生まれ 騎士
年齢 18歳
魔力抵抗 超弱(魔術に対して虚弱、魔術コントロール不可)
ちょっとアレクトに依存気味なヒロイン。余り頭は良くなく、世間知らずな面が目立つ。年に見合わぬナイスバディだが童顔。同じくダドリーにギルド『駿馬の嘶き』に加入するよう勧められたが、此方は特にこれといった陰謀でもなく、ただ単に向いてる職場を斡旋されただけである。家が貧乏だったので、アレクト達には無い独特の価値観を持っている。
戦闘面 戦闘スタイルは典型的な『空中教会(エアチャーチ)』。上空という安全地帯から治癒魔術で地上部隊の支援を行い、光魔術で敵を空爆する。
エリシアの雛型になった悪役はネタバレになるので伏せておく。
●ダドリー=ウェスダン
種族 人族
生まれ 魔術師
年齢 43歳
魔力抵抗 弱(魔術に対して弱い、魔術コントロール可)
国内の王宮魔術師を束ねる四賢人の一人でありアレクトの恩師。老け顔だが43歳、そして独身。魔人研究の第一人者だが裏では非道な人体実験を行い、更に王弟ロムウェルや豪商達、神龍(エルドラ)聖教の神殿と通じている。文章を書くのが致命的に下手くそで、公的な文書を作る時はアレクトを無給で動員する。
戦闘面 作中ではまだ戦闘を行っていないが魔術師であり魔力抵抗が低い為、魔人研究の第一人者ではあるものの余り魔人に対して有利とはいえない。
「魔術学園の裏に潜む悪い事してる教師、王の近くで悪い事企んでる宰相」の二つが雛型。もろに全ての元凶状態。
●ルーフェン=フレウィン
種族 人族
生まれ 公爵
年齢 18歳
魔力抵抗 中庸(魔術に対して普通、魔術コントロール可)
アレクト達と同級生の金髪。アレクトに劣らずイケメンだが気性が荒すぎる為女性受けは芳しくない。ケルディア王国で最も有名なギルド『赤の剣』に加入するが、そこで一人の少年と激突する。後にギルド『駿馬の嘶き』に加入、アレクトの馬車を護衛する事となる。
戦闘面 アレクトの属していた劣等生クラスの中では破格の前衛能力を有している。極太のサーベルを片手で振るい、蜥蜴人(リザードマン)剣術を完全に体得している。軽装だが魔鎧鱗(マナメイル)によって防御力を補っている。
「唐突に主人公に喧嘩売った挙句瞬殺されるヤンキー役」が雛型。此方は強さを除いてまだ原型は残っている。
●ヴァルハイム=アルストリア
種族 人族
生まれ 皇帝
年齢 53歳
魔力抵抗 中庸
ギロチンで処刑されたはずのアルストリア先代皇帝。皇帝時代はオーラ神聖王国に戦争を仕掛けケルディアを道路の如く蹂躙した。その後、ケルディア王国の第二王子であり後に元帥となるロムウェルによって、ギルド『駿馬の嘶き』に匿われる。高圧的な態度やものの考え方は相変わらずだが、長年の亡命生活のせいか庶民的感覚も芽生え始めている。
戦闘面 老いてなお、戦場から身を引いてなお最強の竜騎士団を率いた竜騎士としての実力は衰えておらず、薙刀状の魔剣「七星アライアント」から大量の魔力を放出しながらの突進を得意とする。
国家
●ケルディア王国
アレクト達の住む王国。現君主はハルトⅢ世。そしてその下に元帥ロムウェルが、元帥の下には王宮魔導師を統率する『四賢人』が存在し、軍事面は基本的にこちらが担当しているが国王の発言を無視するほどの力は無い。国教は定まっていないが、神龍聖教が優勢。
二十年前の戦争でアルストリア帝国に惨敗した。西のオーラ神聖王国と同盟を結んでいるが国内の軍事力は貧弱で、現王の行った軍縮政策がそれに拍車をかけている。その反面オーラ神聖王国式の竜騎士『飛行教会』(エアチャーチ)を導入した竜騎士部隊を創設するなど改革の芽も微小ながら存在する。
内政面では国内では二大豪商が幅を利かせ、国王に無理難題をふっかけている。更にその二大豪商の下に様々な豪商が集まり出来た派閥まで存在し、二極化と対立の激化は深刻な問題となっている。ただ彼らの運営する工場などが庶民の生活の柱ともなっており、簡単には排除出来ないようになっている。なお二大豪商は双方元貴族の『貴族崩れ』で、内片方のブロッサム家はアレクトの実家である。
●アルストリア帝国
ケルディア王国の南に存在する国家。二十年前オーラ神聖王国、獣人国家バレンシアに敗れ、時の皇帝ヴァルハイムは処刑された。現在はオーラ神聖王国統治下の共和国となっている。国教は神龍聖教。
信仰する宗教の違いなどから古くからオーラ神聖王国と敵対しており、神聖魔法の教義から外れる死霊魔術などの研究も盛んに行われてきた。ヴァルハイム皇帝自身は獣人嫌いであったが、死霊魔術の研究には獣人の研究者も従事していた。そして大規模な竜騎士団を擁しており、その練度は当時のケルディア王宮騎士団を要塞都市ラーシエス諸共軽く一蹴するほど。
●オーラ神聖王国
アルストリア帝国の北、ケルディア王国西に位置する大国家。ケルディア王国と同盟を組んでいる。国教はルシア教。
●アラド公国
ケルディア王国の北に位置する魔境。この世界において神にも等しい存在のはずの龍(ドラゴン)が平然とぶらつき、それらより強烈な人間達が住む世界の果てである。
元はオーラ神聖王国アラド領であったが余りにも現地の魔物が凶悪で、本国が統治を諦めアラド領主に完全に委託した事を興りとする。だが公国政府側は、自分達はまだオーラ神聖王国の臣下であると主張している。
●獣人国家バレンシア
アルストリア帝国の西、オーラ神聖王国の南西に位置する獣人の国家。百年前の戦争では他国家と共に戦列を並べ、二十年前の戦争では主力の欠けたアルストリア本国に攻め入った。
●ローラント王国
ケルディア王国の南東に位置する国家。百年前の大東方連合との大戦争の講和条件として大東方連合の軍隊が今も駐留している。ローラント王国南部では、ソリエッタ公国を名乗る反政府軍が勢力を握っている。
●ソリエッタ公国
ローラント王国南部に位置する自称国家。実態は大東方連合から祖国を解放するという目標を掲げ飛空艇によってローラント王国南部を制圧している武装集団だが、その思想に共感する者は国内外に多くいる。一方国家としては認めていない国家が多い。
飛空艇技術は大東連に匹敵しているものの物資面は心もとなく、魔王の物資援助によって生き永らえている状態。
●大東方連合
外海の大国家。百年前に突然ケルディア王国、ローラント王国双方の沿岸部に侵攻。大陸全土から集った兵と一国で渡り合い、講和条件としてローラント王国に軍隊を駐留させる。
大東方連合の兵士は黒髪で肌の色が濃く、独特の鎧や刀剣を持っている。
●魔王
アルストリアの南に広がる広大な領土を治める異界の王。正しくは国家ではないが、その実力と経済能力から国家として考慮される。ソリエッタ公国に物資援助を行っている。
設定
『魔力抵抗』
全生命体が体内に持っているもので、これが強いと魔術が効きづらくなるが魔術を行使する時に使える魔力量が下がり、結果的に威力、効果も下がってしまう。またこれが強すぎると魔術が全く効かなくなる代わりに魔術が一切使えなくなってしまう。
逆にこれが弱いと魔術の威力は上がるが、魔術を食らった時に効果をもろに受け大惨事になってしまう。弱すぎると、空気中の魔力がちょっと濃くなっただけでマナ酔いなどの症状が発生してしまう。
『魔剣』
膨大な時の流れの中で空気中の魔力を過分に溜め込んだり、魔力を持つ存在を斬りつけたりして元来その武器が持つ力を凌駕した武器の総称で、別に形が剣であろうが槍であろうが、関係なく一纏めに魔剣と呼称される。
作者名
手垢
ジャンル・キーワード
ジャンル ファンタジー
キーワード 残酷な描写あり ファンタジー 国家/民族 ビジネス/企業 架空戦記 政争 内政
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