バルダー・ブラックモアは軍のエリート将校。しかし権力闘争に明け暮れた彼を待っていたのは陰謀と身の破滅だった。一瞬にして全てを失い、酒に溺れ自堕落な日々を過ごすバルダー。もはや生ける屍と化した彼はある日、化け物の女と出会う。女の名はスティレッタ。バルダーはスティレッタに血を与え、その対価として彼女から力を分け与えられることとなる。新たな力を得たバルダーを待ち受ける運命とは?
バルダー・ブラックモア主人公。元ティルア陸軍少佐。ユマ族の男。ある事情から権力闘争に身を投じることとなるが、数年前に陰謀によって退官を余儀なくされる。白兵戦を得意とし、武器は主にナイフ、自動式拳銃、ソードブレイカーの付いたカットラス等を用いる他、耐熱グローブを付けていることも。ANSEAは主に力学系機能を使用している。さる人物から譲り受けたスティレット(別名ミセリコルデ)を携帯していることもあるが、どういう訳かあまり使わない。現在は傭兵稼業で生計を立てており、彼の元部下であったモルガンの下で働いている。現在32歳。身長192cm。やつれているのでもっと年上に見える、とのこと。ぼうぼうに伸びた紫がかった黒髪を後ろで一つにまとめている。瞳は金色で鋭い目つき。ほぼ毎日無精ひげ。髭については迫力はあるが周囲からは少々不評らしく、モルガンから「髭ぐらい剃って来い」と指摘されることも多い。屋外の仕事が多いせいか肌は浅黒く焼けている。おまけに大体服装は黒系統の服が多い(特に黒のロングコート、濃い灰色のカッターシャツ、黒いベスト、黒のスラックスという姿を好む)上姓がブラックモアであるのでスティレッタからは「クロスケ」とあだ名されており、それ以外の服の時でさえも黒ずくめとなったためにセンスを疑われて「ドブネズミ」とコメントされたこともある。本人の趣味なのか、シルバーアクセサリーやイヤーカフを集めており色んなアクセサリを身に着けている。
極めてストイックで冷静な現実主義者。必要ならば私情を捨て冷酷に振舞うことも。現在は自暴自棄になって不摂生な生活を送っているが、性格自体は真面目で常識人の部類に入る人物。軍人時代も極めて厳格で筋を通す人物だったらしく、それ故に彼なりに苦しんだことも多かった様子。何らかの思い入れがあるようで、ボロボロの黒猫のぬいぐるみ「くろすけ」を大事にしている。
スティレッタもう一人の主人公。崖から転落したバルダーを助けた女吸血鬼。人種不明。stiletto+女性接尾辞a なのでスティレッタ。彼を助けた際にバルダーの血を定期的に貰う対価として、彼に不死身とも言える高い身体能力を与える約束をする。バルダーも彼女が「文句なしの美人」であることは認めているが、血を貰う約束をした際にあったひと悶着の為にバルダーは彼女に対してあまりいい印象を抱いていない。身長171cm。まるで上等なルビーのように真っ赤な瞳、黒檀の如く真っ黒でウェーブの掛かったロングヘア、透き通るように白い肌を持つ。スーパーモデル顔負けの体型と美貌の持ち主。グラマラスな身体に自信があるようで、露出の多い赤の服やピンヒールの靴を好む。バルダーをやすやすと取り押さえられるほどの怪力の持ち主。他にも猫に変身する、バルダーとテレパシーで会話できるなどの能力が確認されている。
アーロン・クロンヘイムバルダーの同僚。オッソ族の男。30代前半かと推測される。身長は160cmにも満たない小柄な人物で、白磁のような骨の四肢を持つ。自然科学、特に生物学等に対する造詣が深く、ライフルによる狙撃やANSEAによる遠距離攻撃を得意としている。
モルガンバルダーの現上司で元部下。ユマ族の男。年齢は恐らく50代前後。軍人時代は一兵卒からの叩き上げであったため、エリートコースを進んでいたバルダーの部下だったが、モルガン本人はバルダーのことを「経験の浅い青二才」としか見ていなかった模様。右目を負傷し隻眼となったことを機に軍を辞めたが、今もなお大岩のような巨体に隆々とした筋肉を持つ。ちなみにバルダーも過去彼に軽々と持ち上げられたことがある。現在は傭兵の派遣業をやっており、バルダーもそこで世話になっている。
ハンスバルダーの同僚。ユマ族の男。年齢は20代半ば程度。金髪でお調子者。バルダー曰く「軽率な行動が目立つ」らしく、かなりのおしゃべり。一部の同僚は彼の言動に頭を悩ませている。
シリウス・セイアッドバルダーの同僚。セルパ族のクォーターの青年。年齢は20歳。黒髪に緑色の瞳の青年。左肩に鱗があるが、基本的に隠している。寡黙。とにかく寡黙。不必要なことは喋らないが必要なことも同じぐらいに喋らないのでバルダーに何かと気に掛けられている。細身の長剣を用い、流体を操るANSEAを使用する。
アルベルト・シラーモルガンの下で働く医師。ミカニ族の青年。バルダーとは同じ陸軍で知り合った仲とのこと。
本作の舞台。広大な国土と世界一の生産力を誇る経済大国。約30年前の大戦の前から世界最大の資本主義国として世界のリーダーを自負する。連邦共和国の名の通り全部で45の州に分かれており、各州ごとに自治が行われている。連邦共和国憲法では基本的人権の尊重、人種差別の撤廃等がうたわれているものの、今も尚ユマ族とそれ以外の人種間での差別が問題となっている。
オーストティルア共和国東部に位置するエクサ州にある田舎町。ユマ族の他ルプス族の住民が多い。シルアスティルア共和国北東部に位置するワトスン州にあるティルア屈指の都市。
「ヌクス」あるいは「エヌーユーエックス」と読む。あらゆる物理学的エネルギーに(現代科学ではあり得ないレベルでエネルギー損失を抑えた上で)変換することができるエネルギー結晶『CORE(コア)』を搭載した機器の総称。照明器具や冷蔵庫等の家電製品などにも搭載されており、製品としてはさほど高価ではない模様。武器としての利用範囲は力学(運動量・力学的エネルギーの変化)、電磁気(高電圧による攻撃)、熱力学(火炎や物質の冷却、大気中の水分を凝縮する)、力学的波動(音響兵器)、光学(レーザーガン等)、流体力学(風・液体を自在に操る)など多くの分野に渡る他、現在では軍事的無線技術への応用が期待されている。
正式名は『Antipersonnel NUX System Equipped Arms』略して『ANSEA』「アンシー」と読む。NUXシステムを搭載した武器の総称であり、有名なのはティルア共和国最大の軍事会社『ユノ』が開発する『EVER』シリーズや、東グルモアの会社『シュバルツ』が開発する『BRIGHT』等が有名。サイズは懐中時計のものから腕時計の文字盤程度の物まで。小型なものほど高価であるが、値段と性能、発売時期に相関はないとの意見も多い。使い方としてはNUXシステムをそのまま利用した攻撃(火炎や高電圧による電撃など)の他、流体力学的NUXシステムであれば風を利用し移動速度を上げる、力学的NUXシステムであれば運動量の変化により弾丸の弾速を変化させるなど幅広い使用方法がある。近年拳銃型ANSEAも多くの会社から発売されており、それらは主にNUXガン、あるいはNUX銃と呼ばれる。これらの拳銃は弾頭部分はあれど薬莢がない弾丸を使用していたり、NUXシステムを応用しているのでレーザーや冷凍銃であるため基本的に薬莢というものが無い。しかし従来の薬莢の拳銃に比べてコストが非常に高い。
ティルア共和国は移民を多く受け入れている国であり、類を見ないほどに世界中から多くの人種が集まっている。もっとも多い人種はユマ族であるが、ユマ族以外の人種の総人口とユマ族の人口はほぼ同程度と言われている。ユマ族ティルア共和国の中で最も多いとされる人種。いわゆる"ヒト"の姿に近い。オッソ族少数人種。四肢のいずれか、あるいは四肢全てが骨になっている。ミカニ族身体の一部が生まれつき金属化、あるいは機械化している人種。ルプス族犬の頭部、犬の尾を持つ人種。数百年前に奴隷として連れてこられてた人物の子孫が多い。ペンナ族背に一対の羽根を持つ人種。短時間(10分以下)であれば飛行も可能セルパ族スメラ国(旧スメラ皇国)の大多数を占める人種。リュウと言われる伝説の生き物の末裔とスメラ国の神話では語られる。白い肌と薄い色素の瞳あるいは髪を持つ他、身体の一部に鱗を持つ。
浦辺京
アクション〔文芸〕
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