現代風の娯楽が入り混じり、傾奇者と中二病が互換された織豊時代。関ケ原の合戦の一年後、平穏な山奥の集落で暮らす一人の少年を巡り、中二臭い女たちの熾烈な殺し合いが始まった。 強者との斬り合いを好む女武芸者、自他共に最強を認める天下無双の女剣士、ドMで下ネタを愛する変態女中、豪奢なドレスを身に纏う銀髪の少女。その他にも主人公の命を狙う刺客が次々と現れ、安寧の日々は混乱の渦へ叩き込まれた。 果たして主人公・薙原奏を手に入れる者は誰か? 奏は理不尽な世界で、自分の意志を貫く事ができるのか? その答えは、作中で明らかにされていく……。
◆渡辺朧(わたなべおぼろ)
元紅城城主・渡辺覇天の妾腹の娘。中二病の女武芸者。覇天流の奥義を極めた牢人で、動乱の京や関ヶ原の戦いで武名を高める。現在は幼馴染みの奏を守るために、薙原家で雌伏して時を窺う。
神懸り的な身体能力の持ち主。野牛を投げ飛ばすほどの腕力に、馬と併走するだけの脚力を有する。垂直跳びは150cmを軽く超え(ギネス記録が約115cm)、超人的な耐久力を誇る。生まれつき毒や薬が効きにくい体質で、酒を水代わりに飲む酒豪。
生来の天邪鬼であり、生粋の戦闘狂バトルマニア。常に対手の裏をかくことをオサレと心得え、逆境こそ至上の快楽と信じて疑わない自信家。平時は酒を飲みながら昼寝するだけの怠け者である。口癖は「がらあああッ!!」
◆薙原奏(なぎはらかなで)
薙原家の居候で、本家当主の婚約者。許婚のマリアとは従姉同士であり、母親と南蛮人の祖父が煉獄流宗家の継承者。无(アンラ)の予言で記された運命の子。父親は豊臣秀吉と言われており、数奇な運命に翻弄されている。
もし現代の中学校に在籍していたら、「運動神経はいいけど、帰宅部で体力ないから、マラソン大会は期待しないで」というタイプ。煉獄流の技も一通り学んでいるが、剣術は剣道の有段者にぼろ負けするくらい。弓道は地区予選で敗退確実。馬術も初めて二年程度。一番得意なのは、弓術かマリア仕込みのプロレス技であろう。創造性は、まだ実戦経験が不足しているので未知数。
本人は否定するが、純粋で真面目で責任感が強い。ただ周りから「イイ人」と思われるのが精神的な負担で、端麗な顔立ちもコンプレックスの一つである。 おゆらを反面教師にしてきたので、下ネタや変態趣味は嫌い。良くも悪くも、天然の世間知らず。周囲に変人が多いので突っ込みばかりやらされているが、時折発揮する抜群の判断力といい、意外と捉えどころのない人物である。
◆薙原マリア(なぎはらマリア)
薙原本家の現当主と、蛇孕村の土着信仰である蛇神信仰の祭主――无巫女(アンラみこ)を兼任している。奏の従姉であり、将来を誓い合った許婚でもある。祖父が薙原家に伝えた煉獄流を誰からも教わることなく習得し、わずか八歳で煉獄流三代目宗家を継承した。絶世の美貌とカリスマの持ち主であり、本家女中衆や蛇孕神社の巫女衆から現人神の如く崇拝されているが、普段は蛇孕神社に引き篭もり、政治はおゆらに丸投げしている。
自他共に認める絶対者(チート)。母親の命令で戦国大名を襲撃したり、城下町を壊滅させたりしていたので、世間からは祟り神の如く恐れられている。たま関ヶ原の戦いで武功第一に輝いたことから、武芸者の間では天下無双の剣聖と名高い。 普段は瞼を閉じているので、巷説では盲目の女人と語られている。口癖は「ただそれだけ」
◆薙原常盤(なぎはらときわ)
南蛮人と日本人の血を引く少女。三年前まで隷蟻山で穴居人のような生活をしていたが、先代当主の気紛れで薙原家の猶子となり、本家屋敷で暮らすようになる。 不幸な生い立ちと二年前の事件が重なり、基本的に他人を信用しようとしない。また精神的に不安定な部分も見受けられ、突然癇癪を起こしたり、急に意気消沈して部屋に閉じ篭ることがある。高価な着物を衝動買いするのは、ストレス発散のため。
奏だけは絶対に自分を裏切らないと信じており、世話役の帑亞翅碼璃万崇の死後、唯一の心の拠り所としている。
生まれつき体が弱く、現代の中学校に在籍していれば、教室と保健室を往復するタイプ。かろうじて短筒の衝撃を押さえ込めるくらいの腕力はある。
◆悠木ゆら(ゆうきゆら)
薙原本家の女中頭。同時に奏の世話役を務めながら、悠木家当主として合議にも出席する才媛。マリアから本家の庶務一切を任されており、事実上一人で薙原家の政治を動かしている。間違いなく有能な人物だが、口を開くと下ネタ連発。しかも真性のドMと救いようのない変態。霊長類ヒト科最低の卑猥物。
それも表向きの顔で、裏の顔は冷酷で残忍な魔女。徹底した合理主義者で、神経質なまでに用心深い。虚言と謀略を好み、目的を達成するためなら、どれだけ残酷なことでも平然と行なう。他人の命を駒としか考えておらず、奏以外の者なら誰が死んでも気にならない。
マリアを現人神のごとく崇拝しており、自分の命を捧げてもよいと考えているが、決して狂信的な忠誠心ではなく、彼女なりの目的があるようだ。
(前略)
この歴史を塗り替える文化的大革新に着目したのが、天下布武を掲げる婆娑羅(バサラ)大名――織田信長だ。 第十五代将軍――足利義昭を京から放逐。室町幕府を滅亡させ、新政権を樹立した信長は、数寄者(オタク)文化の発展に心血を注いだ。堺の豪商を使い、茶器と共に万画(マンガ)の原本や遊戯箱(ゲーム)の遊戯板(ソフト)を高騰化させ、貨幣取引に金銀を取り込み、銅貨や娯楽品を地方まで行き渡らせた。同時に選銭令(銅貨の価値を区分する制度)や楽市楽座を施行し、領国内の物流を活性化――飛躍的な経済成長を成し遂げる。穀物の増産に頼る武士や豪商、ひいては庶民の生活様式さえも改革したのだ。
有史に残る大偉業といえるが……中二病に話を戻そう。 時代の変化と共に婆娑羅(バサラ)と数寄者(オタク)が融合し、いつしか中二病と呼ばれるようになる。しかし、資料文献は無数にあれど、中二病の語源や由来は未だ明らかにされていない。 信長が自他共に認める婆娑羅(バサラ)の数寄者(オタク)で、彼の生き様に共感した者が中二病と言い始めた説。信長と何の関係もなく、幼少期から数寄者(オタク)文化の影響され、独自の美意識を追求する者を中二病と呼び始めた説。中が二つという矛盾から、陰陽や終末思想に関連付ける説もあり、与太話を含めると枚挙に暇がない。 諸説入り混じるも、当時の人々は中二病を特異な存在と受け止めていたのだろう。それも傍迷惑な厄介者という認識が主であり、戦国時代の民衆の暮らしぶりを記した葉派記には、中二病の言動が列挙されている。
――傾中 第二章 无の予言(二) より抜粋。
さとうのら
キーワード R15 残酷描写有 架空歴史 バトルホラー 異常なハーレム ヤンデレ 戦国伝奇譚 なろうコン大賞 シリアス要素有り コメディ要素有り 鬱展開有りジャンル 歴史
軽妙洒脱な台詞まわし、絢爛豪華な戦闘シーン! そして一癖も二癖もある中二病のヒロイン達の跋扈する、奇妙奇天烈な時代劇です!
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